米10年債利回りは4.47%、米サービス業PMIは予想外に改善、製造業PMIは予想下回る

米10年債利回りと米経済の関係について、私の見解は以下の通りです。

  • 米10年債利回りは、米国の長期的な経済成長やインフレの見通しを反映する重要な指標です。一般に、経済が拡大し、インフレが高まると、投資家はより高い利回りを求めて国債の売りを強め、利回りは上昇します。逆に、経済が縮小し、インフレが低下すると、投資家は安全な資産として国債の買いを増やし、利回りは下落します。
  • 2023年10月24日時点での米10年債利回りは4.47%と、2021年3月9日の1.6%から大幅に上昇しています。この上昇の背景には、バイデン政権の大規模な財政刺激策やワクチン接種の進展による経済回復の期待、原油価格の高騰や供給不足によるインフレ圧の高まりなどがあります。ブルームバーグが調査した名目GDPの予想平均は32年ぶり高水準の7.6%であり、インフレ率も2%を超えると見込まれています。
  • しかし、米10年債利回りの上昇は、米経済にとって必ずしも悪いことではありません。利回りの上昇は、経済が正常化に向かっていることを示しており、過剰な資産価格の高騰や金融脆弱性の増加などの副作用を抑制する効果があります。また、利回りの上昇は、米国債の魅力を高め、海外からの資金流入を促す可能性があります。米国債は世界の基軸通貨であるドル建てであり、信用度が高く流動性が豊富な資産です。そのため、利回りが上昇すれば、米国債の需給バランスは改善し、利回りの急激な上昇は抑制されると考えられます。
  • 一方、米10年債利回りの上昇は、株価にとってはネガティブな要因となります。利回りが上昇すると、株式の割安さや将来のキャッシュフローの現在価値が低下し、株価の下落圧力となります。特に、高成長・高PER(株価収益率)の株は、利回りの上昇に敏感に反応します。また、利回りの上昇は、金利やローンのコストを高め、企業の利益や消費者の支出に悪影響を与えます。さらに、利回りの上昇は、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策の正常化を早める可能性があります。FRBは現在、政策金利をゼロに近い水準に据え置き、月間1200億ドルの国債や住宅ローン担保証券(MBS)の購入を続けていますが、利回りの上昇がインフレ圧を高めると判断すれば、資産購入のペースを縮小したり、政策金利を引き上げたりする可能性があります。その場合、株価は大きく下落するリスクがあります。
  • 結論として、米10年債利回りは、米経済の状況や見通しを反映する重要な指標であり、株価にも大きな影響を与えます。利回りの上昇は、経済が正常化に向かっていることを示しており、米国債の魅力を高める効果がありますが、株価の下落圧力となり、金融政策の正常化を早める可能性があります。したがって、米10年債利回りの動向には注意が必要です。
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