米金融当局者の金利見通しは以前ほど一致していない
米サンフランシスコ連銀の経済論評によると、米金融当局者の金利見通しは以前ほど一致していないことが示されました。
論評によると、ドット・プロット(金利予測分布図)を分析したところ、当局者の見解の相違は2010年代に縮小し、パンデミックの初期には「ほとんど存在しなかった」が、「しかしそれ以降、相違は拡大し、2023年の第1四半期と第2四半期には平均を超えた」。
この変化について、論評は、今後、政策当局者が利上げ終了時期や利下げ開始時期を決定する上でより激しい議論につながり得るほか、反対票も増える可能性があると指摘しています。
この1年半、当局者はほぼ一致してフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジをゼロ近辺から5.25~5.5%と、22年ぶり高水準まで引き上げてきました。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が2018年2月に就任して以来、反対票を投じた当局者は延べ13人に過ぎず、そのうち、22年3月の利上げ開始以降ではわずか2人です。
論評によると、現在は今後の金利の道筋を巡る政策当局者の意見の相違が拡大しています。こうした不一致は特に将来のインフレ経路をめぐる見解の相違と関連しているという。一方、成長や失業率見通しの相違は「政策の不一致と統計的な関係はない」とした。
しかしそれでは意見の相違の一部しか説明できないとした上で、「経済見通しに関する見解の相違は、政策に関する相違の約3分の1しか説明できない。これは、どのような政策を好むかといった経済見通しとは無関係な要因がより大きな役割を果たしていることを示唆している」と同論評は指摘しています。
今後の展望
論評は、今後、政策当局者の間で金利見通しを巡る議論がさらに激化する可能性を指摘しています。これは、金融市場に混乱をもたらす可能性があります。
また、政策当局者が利上げを継続するかどうかも不透明です。利上げが続けば、景気が後退する可能性があります。
今後の金融市場の動向は、政策当局者の金利見通しを巡る議論の動向に左右されると考えられます。