2023年10月9日 日本の金融市場の見通し
概要
5日の東京市場は小康状態となった。しかし、10月に入って株売り・円売り・円債売りのスピードが加速し、4日はトリプル安が鮮明となった。3市場にはそれぞれ独自の要因が働いていたとはいえ、根源は米長期金利の上昇だったと言える。
トリプル安の背景
株売りについては、米長期金利の上昇を背景とした景気後退懸念が強まったことが主因とされる。円売りについては、米長期金利の上昇による円安進行が背景とされる。円債売りについては、米長期金利の上昇による国内金利上昇が背景とされる。
日本の対応策
日本政府にとって急ピッチのトリプル安は個人や企業の心理を悪化させ、日本経済に冷水をかける悪い現象だが、米長期金利はコントロールの圏外で対応策がない。日本の長期金利の急上昇は景気にマイナスとなるが、日銀が強く抑え込めば、それが円安材料として市場に受け取られて円安が加速しかねず、物価高に跳ね返ってくるという構図になっている。
今後の見通し
政府・日銀にとって米長期金利の天井が見えるまでは、口先介入やオペの実施でしのいでいく展開が続きそうだ。
用語解説
- トリプル安:株価・為替・債券の3つの市場で同時に下落すること。
- 米長期金利:米国の10年以上の国債の利回り。
- 景気後退懸念:経済活動が縮小し、景気が悪化する懸念。
- 円安進行:円の価値が下がり、外国通貨の価値が上昇すること。
- 国内金利上昇:日本国内の金利が上昇すること。
考察
トリプル安は、日本経済にとって大きな重荷となる。政府・日銀は米長期金利の天井が見えてくるまで、口先介入やオペの実施などによって、トリプル安を抑え込む必要がある。しかし、米長期金利が依然として高水準であることから、トリプル安が長期化する可能性も否定できない。