来週の東京市場【環境認識】

2024年8月3日

日経平均の動向と今後の展望

【考察】

7月の日経平均(終値ベース)は前月末比1.22%安となりました。終値ベースでの上下の値幅は4556円で、これは2020年3月のコロナショック以来の大きな値幅です。今年初めて日経平均は200日移動平均線を割り込み、25日移動平均線との乖離率は9.85%と売られ過ぎの感があります。日経平均VIが29ポイント台まで急騰し、投資家心理が急激に悪化しました。1日と2日のプライム市場の売買代金は6兆円を超え、セリングクライマックスとも考えられますが、まだ反発のきっかけが見つかっていません。円高一服や米国景気悪化懸念の後退、フィラデルフィア半導体株価指数(SOX指数)の下げ止まりなどを確認する必要があります。

【その他の考慮点】

2日の米国株式市場は大幅続落し、ダウ平均は前日比610.71ドル安の39737.26ドル、ナスダックは417.98ポイント安の16776.16、S&P500は100.12ポイント安の5346.56で取引を終了しました。大証ナイト・セッションの日経225先物は通常取引終値比1120円安の34800円で取引を終えたことから、週初の東京市場はもう一段安となる公算が大きいです。市場が壊れた状態から8月いっぱいは落ち着きを試す展開が予想され、まずは200日移動平均線が位置する36860円水準を回復しておきたいところです。

【全体的な見通し】

7月の米雇用統計が市場予想を大きく下回り、為替市場では1ドル=146円台まで円高ドル安が加速しました。ドル・インデックスが103ポイントを割り込むなどドル売り圧力も強まっています。急激な円高は、投機筋による円売りポジションの巻き戻しが原因と見られ、円全面高の地合いが続いています。企業の想定レートは、ドルが140円から145円、ユーロが150円から155円と現在の為替水準よりも円高ですが、一気に円高が進行しているため、円安効果による業績上振れ期待は大きく後退しました。市場は企業業績への影響を見極め切れていないため、ろうばい売りが増加しています。ニトリホールディングスやニッスイなど円高メリット銘柄も売られており、市場の混乱度合が見られます。為替変動が落ち着けば、根こそぎ売られた好業績銘柄や、食品、小売など円高メリット銘柄から値を戻すことが期待されます。

【用語解説:初心者向け】

  • 日経平均: 日本の株式市場の主要な株価指数で、日本経済新聞社が算出しています。
  • 終値: 株式市場の取引が終了した時点での価格です。
  • 200日移動平均線: 過去200日間の株価の平均値をつないだ線で、長期的なトレンドを示します。
  • 25日移動平均線: 過去25日間の株価の平均値をつないだ線で、中期的なトレンドを示します。
  • 下方乖離率: 現在の株価が移動平均線からどれだけ下がっているかを示す指標です。
  • 日経平均VI: 日経平均株価のボラティリティ・インデックスで、株価変動の激しさを示します。
  • プライム市場: 東京証券取引所の主要市場です。
  • セリングクライマックス: 株価が急落し、多くの投資家が一斉に売る現象です。
  • フィラデルフィア半導体株価指数(SOX指数): 米国の主要な半導体関連企業の株価指数です。
  • ダウ平均: アメリカの主要な株価指数の一つです。
  • ナスダック: アメリカのハイテク株を中心とした株価指数です。
  • S&P500: アメリカの主要な500社の株価指数です。
  • 大証ナイト・セッション: 大阪証券取引所の夜間取引です。
  • 為替市場: 通貨の売買が行われる市場です。
  • ドル・インデックス: ドルの価値を主要通貨に対して相対的に示す指数です。
  • 想定レート: 企業が業績予想をする際に基準とする為替レートです。
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