来週の東京市場【環境認識】

2024年6月23日

【考察】

今週(6月17日〜21日)の日経平均株価は下落し、先週末と比べて218.09円(0.56%)安い3万8596.47円で取引を終えました。

先週(6月10日〜14日)、米国で発表された経済指標(CPIやPPI)が予想を下回り、米・連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が高まりました。しかし、米国経済の減速懸念も増大。また、フランスの大統領選挙で与党連合が極右政党に敗北し、欧州の政局不安が警戒されました。このような状況の中、6月17日の日経平均株価は700円以上の急落となりました。

その後、米国のハイテク株に注目が集まり、エヌビディア(NVDA)の株価が上昇して時価総額で世界首位になるなどの動きがありました。これによりナスダック総合株価指数は7営業日続伸。東京市場でもソフトバンクグループ(9984)やTDK(6762)などの株価が上昇し、日経平均株価も6月18日から20日まで3日連続で上昇しました。

6月21日、米国のハイテク株が利益確定の売りで下落し、東京市場でも値がさハイテク株の一部が下げましたが、日経平均株価の下げは小幅にとどまり、下値の堅さが見られました。

【その他の考慮点】

来週(6月24日〜28日)の日経平均株価は、引き続き米国市場の影響を受けやすい展開が予想されます。米国では、6月25日に消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)とリッチモンド連銀製造業指数、6月28日に個人消費支出(PCEデフレーター)とシカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者態度指数確報値の発表が予定されています。これらの経済指標が予想を下回る場合、「利下げ期待」よりも「景気減速」への警戒感が強まり、米国市場の弱い動きが東京市場にも影響を及ぼしそうです。

また、米国のハイテク株への注目が続く中で、6月26日にマイクロン・テクノロジー(MU)の決算が予定されています。この決算がポジティブに評価されると、ハイテク株への物色がさらに強まる可能性があります。

さらに、6月24日にはソフトバンクグループ傘下のアームホールディングス(ARM)がナスダック100指数に採用されることも注目ポイントです。この動きが東京市場にどう影響するかも重要な点です。

【全体的な見通し】

来週の日経平均株価は、米国市場の経済指標の発表や米国ハイテク株の動向に影響されやすい展開が予想されます。特に、米国の経済指標が予想を下回る場合、景気減速への懸念が強まり、東京市場にもネガティブな影響を与える可能性があります。一方で、米国ハイテク株が好調を維持する場合、東京市場もそれに引っ張られる形で上昇する可能性があります。

【用語解説:初心者向け】

  • 日経平均株価:日本の株式市場の代表的な株価指数。東京証券取引所の一部上場企業225社の株価を基に計算される。
  • CPI:消費者物価指数。物価の変動を示す指標で、消費者が購入する商品やサービスの価格の平均的な変動を測る。
  • PPI:生産者物価指数。生産者が販売する商品やサービスの価格の平均的な変動を測る指標。
  • FRB(連邦準備理事会):アメリカ合衆国の中央銀行制度の中心機関。金融政策の決定などを行う。
  • ナスダック総合株価指数:アメリカのナスダック市場に上場する全銘柄の株価を基に算出される株価指数。
  • 値がさハイテク株:価格が高く、株価指数に大きな影響を与えるハイテク関連の株式。
  • コンファレンス・ボード:アメリカの非営利経済研究機関。消費者信頼感指数などの経済指標を発表する。
  • PCEデフレーター:個人消費支出に基づく物価指数。消費者物価指数(CPI)に次ぐ重要なインフレ指標。
  • シカゴ購買部協会景気指数:シカゴ地区の製造業と非製造業の経済活動を示す指数。
  • ミシガン大学消費者態度指数:アメリカの消費者の経済状況に対する意識を調査する指数。
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