2023年12月9日
考察
- 中国国家統計局が11月の物価統計を発表した結果、消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が大幅に下落したことが示された。
- CPIは前年比、前月比ともに0.5%下落し、市場予想を大きく下回った。これは2020年11月以来の大きな下落率であり、内需の低迷やデフレ圧力の高まりを示唆している。
- 今回のデータは、世界的なエネルギー価格の低下や冬の旅行需要の後退、供給過剰などが要因として挙げられ、政策当局者の懸念の種となっている。
その他の考慮点
- デベロッパーや地方政府がレバレッジを縮小し続けており、世界的な景気減速が予想されることから、2024年も景気の下押し圧力が高まる見通し。
- 食品と燃料を除いたコアインフレ率は0.6%で、10月と同水準。しかし、コアCPIの弱さは持続的な需要低迷を警告しており、中国がより持続可能でバランスの取れた成長を目指すためには、これに対処する政策が重要とされる。
- PPIは前年比で3.0%の大幅な下落となり、14カ月連続のマイナス。市場予想を上回る数字であり、8月以来の大きな下落率を示している。
全体的な見通し
中国の統計局発表の数字から、消費者物価指数と生産者物価指数が大きく下落したことが明らかになった。内需の低迷や世界的な経済状況の影響により、デフレ圧力が高まっている。将来的にも景気の下押し圧力は続く見通しであり、需要低迷に対処する政策が必要とされる。
用語解説:初心者向け
- 消費者物価指数(CPI): 商品やサービスの価格変動を計測し、消費者が支払う物価の指標。一般消費財や食料品などの価格変動を示す。
- 生産者物価指数(PPI): 製造業や鉱工業などの生産活動における原材料やサプライチェーンの価格変動を計測する指標。商品の生産者が支払う価格の変動を示す。
- コアインフレ率: 食品やエネルギーなどの価格変動を除いた、基本的な消費財やサービスの価格変動率を示す指標。通常、需要の変動に対する影響をより正確に捉えるために使用される。
- デフレ: 一般的な価格水準の低下を指し、物価が下がり続ける状態。需要が低迷していることを示す。
- 供給過剰: 需要を上回る量の商品やサービスが市場に存在する状態。需要に対して供給が多すぎることを意味する。
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