米国の景気動向に関する分析

今日は、20日に発表される米国の10月景気先行指標総合指数について、私の考察をお伝えします。

この指標は、米国の景気の将来の動向を予測するために、10の経済指標を合成したものです。前月比でプラスなら景気の拡大、マイナスなら景気の縮小を示します。9月は、コロナウイルスの感染拡大やインフレ圧力の高まりなどで、マイナス0.7%となりました。10月の予想も同じくマイナス0.7%となっていますが、果たしてどうでしょうか。

私は、10月の指標は、予想よりも悪化する可能性が高いと考えています。その理由は、以下の通りです。

– 10月は、米国の雇用市場が低迷しました。非農業部門の雇用者数は、市場予想の50万人に対して、わずか18万人しか増加しませんでした。失業率も、予想の4.8%に対して、5.0%となりました。雇用は、景気の先行指標の中でも重要な要素ですので、この結果は、景気の減速を示唆しています。
– 10月は、米国の消費者信頼感が大幅に低下しました。ミシガン大学の消費者信頼感指数は、前月の72.8に対して、67.4となり、2020年8月以来の低水準となりました。消費者信頼感は、個人消費の動向に影響を与えますので、この結果は、景気の冷え込みを示唆しています。
– 10月は、米国の住宅市場が減速しました。住宅着工件数は、前月比で1.6%減少しました。住宅建設許可件数も、前月比で0.5%減少しました。住宅市場は、景気の先行指標の中でも敏感な要素ですので、この結果は、景気の下振れを示唆しています。

以上のことから、私は、10月の景気先行指標総合指数は、予想よりも悪化する可能性が高いと考えています。この結果が発表されれば、米国の景気の先行きに対する不安が高まり、株式市場にも悪影響を及ぼす可能性があります。

その他の考慮点としては、以下のことが挙げられます。

– 10月は、米国のインフレ率が高止まりしました。消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で6.2%となり、1990年10月以来の高水準となりました。生産者物価指数(PPI)も、前年同月比で8.6%となり、史上最高となりました。インフレ率が高いと、消費者の購買力が低下し、企業の利益率が圧迫されます。また、インフレ率が高いと、米国連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の引き締めを早める可能性があります。これらのことは、景気や株式市場にとってマイナスです。
– 10月は、米国と中国の関係が悪化しました。米国は、中国の人権侵害や台湾問題に対して、制裁や非難を強めました。中国も、米国の干渉に対して、反発や報復を強めました。米国と中国は、世界の経済や株式市場に大きな影響を与える国ですので、両国の対立は、不安定要因となります。

全体的な見通しとしては、以下のことが言えます。

– 10月の景気先行指標総合指数は、予想よりも悪化する可能性が高いと考えられます。この結果が発表されれば、米国の景気の先行きに対する不安が高まり、株式市場にも悪影響を及ぼす可能性があります。
– 10月は、米国のインフレ率が高止まりし、米国と中国の関係が悪化しました。これらのことも、景気や株式市場にとってマイナスです。
– したがって、私は、米国の景気動向に関しては、慎重な姿勢をとるべきだと考えています。特に、NYダウは、節目の3万5000ドル絡みで値固めの中、25日移動平均線と200日移動平均線のゴールデンクロスが間近とみられますが、これは、上昇トレンドの継続を示すサインとなります。しかし、景気の先行きが不透明な中、このサインに安易に乗るのは危険だと思います。むしろ、このサインを利用して、利益確定やポジション調整を行う投資家が増える可能性があります。その場合、NYダウは、下落圧力にさらされる可能性があります。

用語解説:初心者向け

– 景気先行指標総合指数:米国の景気の将来の動向を予測するために、10の経済指標を合成したもの。前月比でプラスなら景気の拡大、マイナスなら景気の縮小を示す。

– NYダウ:ニューヨーク証券取引所に上場する30社の代表的な株式の平均株価。米国の株式市場の動向を示す代表的な指標の一つ。

– 25日移動平均線:過去25日間の株価の平均値を線でつないだもの。株価の短期的なトレンドを示す。

– 200日移動平均線:過去200日間の株価の平均値を線でつないだもの。株価の長期的なトレンドを示す。

– ゴールデンクロス:25日移動平均線が200日移動平均線を下から上に突き抜けること。株価の株価の上昇トレンドの継続を示すサインとなる。しかし、このサインに安易に乗るのは危険だと思います。

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