2025年1月12日
【考察】
米国株式市場は、想定を超える12月の米雇用統計の結果を受けて下落しました。ダウ平均は前日比696.75ドル安の41,938.45ドル、ナスダックは同317.25ポイント安の19,161.63で取引を終えています。この結果、年内の利下げ幅縮小が強く意識され、市場ではリスクオフの動きが広がりました。日経225先物も大証ナイト・セッションで38770円と日中終値比480円安で取引を終了し、75日移動平均線(75MA)を下回る展開となっています。
また、トランプリスクが再燃したことも、市場の不安定要因となっています。米国経済指標が市場予想を上回る動きが続く中、来週発表予定の12月消費者物価指数(CPI)や小売売上高も注目を集めています。これらの結果次第では、更なるリスク回避の売りが出る可能性が指摘されています。
【その他の考慮点】
日本の10年物国債利回りは1.20%台と約13年半ぶりの水準に上昇しています。この背景には、日本銀行の利上げ期待ではなく、米金利上昇の影響が挙げられます。この金利上昇は、地銀やメガバンク、保険業界など金融株にとって追い風となる可能性がありますが、金融株全体の動きにはまだ強さが見られません。引き続きその動向を注視する必要があります。
為替市場ではドルが堅調で、1ドル157円から158円の間で推移しています。急激な円安進行ではないため、政府や日銀による為替介入の思惑は高まっていません。しかし、来週発表の米国経済指標が強い結果となれば、1ドル160円台が視野に入る展開も想定されます。
【全体的な見通し】
米国市場のリスクオフムードが日本市場にも影響を及ぼし、積極的な買いは控えられる状況です。一方で、ドル高円安が進行する中、自動車株などの輸出関連銘柄は下支えされる可能性があります。ただし、トランプリスクに伴う貿易摩擦の懸念がくすぶっているため、輸出関連株の買いが楽観的に進む展開は期待しにくいでしょう。全体として、慎重な相場展開が続くことが予想されます。
【用語解説:初心者向け】
– 米雇用統計:米国労働省が発表する経済指標で、非農業部門の雇用者数、失業率、平均時給などを含みます。米国経済の現状を示す重要なデータです。
– 年内利下げ:中央銀行が政策金利を引き下げることで、市場における金利の低下を指します。経済刺激を目的としています。
– トランプリスク:トランプ元大統領の政策や発言が市場に与える不確実性を指します。主に貿易摩擦や外交問題が関連します。
– 75日移動平均線:過去75日間の平均株価を線で結んだもので、株価のトレンドを分析する指標の一つです。
– ドルインデックス:ドルの価値を他の主要通貨と比較した指標で、米ドルの強弱を測る基準となります。
– 為替介入:政府や中央銀行が外国為替市場に介入して、自国通貨の価値を調整する政策です。