今年も日本銀行の金融政策決定会合が近づくたびに、市場の反応を見極めるような報道が続いています。今年最後の会合(12月18~19日)を控え、日本経済新聞が11月30日に公開した植田和男総裁へのインタビューから注目点を以下に整理しました。
植田総裁の見解
- 追加利上げのタイミング
経済データが予想通り推移していることから、利上げの時期が近づいているとしつつも、米国の経済政策を注視する必要があると述べました。 - 円相場と金融政策
為替レートの物価・経済への影響を考慮した政策運営を強調。また、インフレ率が2%を超える状況で円安が進む場合には、中央銀行にとってリスクが高まるため対応が必要になる可能性を示しました。 - 市場反応
総裁インタビュー後の円相場の動きを注視する必要があります。週明けの市場が無反応であれば、円高が一服する可能性がある一方で、さらなる円高が進む場合、12月の利上げ観測が強まることが考えられます。
国内金融市場の動向
- 短期金融市場
OIS(金利スワップ)データによれば、12月の追加利上げの確率が66%前後に達しています(11月29日時点)。 - 債券市場
2年債利回りが0.59%台に上昇し、2008年以来の高水準に到達。10年債利回りも1.0%を上回る状況が続いています。
米国市場の注目ポイント
- FRB高官の発言
今週はFRB高官による講演が予定されており、ウォラー理事やパウエル議長の発言が米金利やドル相場に影響を与える可能性があります。 - 経済指標の発表
11月の雇用統計を含む重要指標の結果が、今後の金融政策や米金利の動向に影響を及ぼすと予想されます。
ドル円相場の展望
ドル円相場は、日米の金利差縮小が進む中で、さらなる円高の可能性が示唆されています。以下のサポートラインが注目されます。
- 148円を維持できるかが焦点。
- 下値が続く場合、146円台への下落が視野に入ります。この場合、フィボナッチ・リトレースメント61.8%(146.14円)の攻防が鍵となるでしょう。