2025年1月26日
【考察】
1月に開催された日銀の金融政策決定会合では、政策金利が0.25%から0.50%に引き上げられました。この水準は17年ぶりの高水準であり、円相場にも影響を与えました。ドル円(USD/JPY)は一時円高が進行し154.80台まで下落する局面が見られましたが、その後50日移動平均線で支えられ、156円台へと反発しました。他のクロス円も上昇して取引を終え、全体的に円安の圧力が依然として強い状況が示されました。
今週は1月28日から29日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)が焦点となります。市場は利下げの見送りをすでに織り込んでおり、パウエルFRB議長の会見内容に注目しています。タカ派的な発言が出た場合、ドル円はさらに上振れる可能性があり、週間予想レンジは154.00-158.00と予想されています。
【その他の考慮点】
日銀は今回の金融政策決定会合で、2024年度以降のコア消費者物価指数(CPI)の上昇率見通しを引き上げました。また、持続的な賃金上昇や個人消費の増加傾向に触れつつ、経済と物価情勢を慎重に見極めながら政策金利の追加引き上げを検討する姿勢を示しています。ただし、利上げの時期やペースについては柔軟な対応を維持する考えを明らかにしました。
一方で米国では、トランプ元大統領が関税強化の可能性に言及した影響で長期金利が上昇傾向にあります。これにより、FOMCでの議論が利下げ期待の後退を引き起こす可能性があります。市場では、6月の利下げが後ろ倒しされるリスクを意識し始めています。
【全体的な見通し】
日米の利回り格差は拡大から停滞へと転じたものの、明確な縮小トレンドには移行していません。日米利回り格差の膠着状態が続く中、ドル円相場は155.00-158.00の範囲で推移することが予想されます。パウエルFRB議長の会見次第では、利回り格差の動向が変化し、ドル円相場に新たな動きが出てくる可能性があります。特に日銀が追加利上げを実施した場合には、円安方向への圧力が高まることが考えられます。
【用語解説:初心者向け】
- 金融政策決定会合:日本銀行が政策金利や経済政策について議論・決定する会議です。
- 政策金利:日本銀行が金融市場で短期金利を調整するために設定する金利です。
- ドル円(USD/JPY):米ドルと日本円の為替相場を表します。
- クロス円:日本円を含む、他の通貨ペアのことです。例えば、ユーロ円(EUR/JPY)が該当します。
- 米連邦公開市場委員会(FOMC):アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を決定する会議です。
- タカ派:インフレ抑制を重視し、利上げを支持する政策スタンスを指します。
- コアCPI:消費者物価指数から生鮮食品などの価格変動が大きい項目を除いた指標で、インフレの基調を見る際に用いられます。
- 利回り格差:異なる国の国債の利回り(年利率)の差を指し、通貨価値の変動要因となります。