2024年8月2日
米国株式市場は下落、経済指標の悪化が重し
考察
昨日、米国株式市場は主要指数が揃って下落しました。特にナスダック総合指数は、ハイテク株を中心に売りが優勢となり、大幅な下げとなりました。この背景には、米国の7月ISM製造業景況指数が市場予想を下回り、経済の減速懸念が強まったことが挙げられます。ISM製造業景況指数は、米国の製造業の景況感を示す重要な指標であり、数値が50を下回ると景気縮小の兆候と捉えられます。今回の結果を受けて、投資家たちは米国の経済成長が鈍化し、企業の収益が減少する可能性を懸念し、株式を売却する動きが加速しました。
また、前日に高まっていた9月利下げへの期待感が後退し、投資家心理を冷え込ませたことも要因の一つと考えられます。市場では、米連邦準備制度理事会（FRB）が、インフレ抑制のために政策金利を引き上げを続けるのではないかと見られるようになり、金利上昇による企業収益への悪影響を懸念する声も出ています。
その他の考慮点
米国の新規失業保険申請件数も予想を上回り、雇用市場の緩みが指摘されています。新規失業保険申請件数は、その週に初めて失業保険を申請した人数を示す指標であり、数値が増加すると雇用状況が悪化していることを意味します。雇用市場の悪化は、消費者の支出を減らし、企業の業績を悪化させる可能性があるため、投資家にとっては大きな懸念材料となります。
さらに、地政学的なリスクも市場の不安感を高めています。地政学的なリスクの要因が、投資家のリスク回避姿勢を強め、株式市場の変動性を高めている可能性があります。
全体的な見通し
本日の東京株式市場は、昨日の米国株式市場の下落を受けて、軟調なスタートが予想されます。特に、円高が進行しているため、輸出関連株を中心に売りが優勢となる可能性があります。円高は、日本企業の海外での収益を減らし、競争力を低下させるため、輸出企業の業績に悪影響を与える可能性があります。また、週末を控え、投資家によるポジション調整の動きもみられるでしょう。
用語解説：初心者向け
ISM製造業景況指数: 米国の製造業の景況感を示す指標です。数値が50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気縮小と判断されます。
新規失業保険申請件数: 1週間の新規失業保険を申請した人数を示す指標です。数値が減少すると雇用状況が改善していると判断されます。
利下げ: 中央銀行が政策金利を引き下げることです。利下げが行われると、企業や個人の借入金利が低下し、経済活動が活発になると期待されます。
ポジション調整: 投資家が保有している株式などの資産の売買比率を調整することです。
