来週の株式市場の見通しと考察

2023年12月23日

株式市場の見通しと考察

クリスマスから年末にかけて、株式市場は「サンタクロースラリー」と呼ばれる強気相場が見込まれています。これは、年末商戦の活況や、新年に向けた期待感から、株価が上昇する傾向にある現象を指します。また、インフレの鈍化と経済のソフトランディング(経済成長が緩やかに減速すること)により、来年はゴルディロックス相場(物価と経済成長が適度で、株価が上昇しやすい状況)が期待されています。

しかし、一方で株式相場のトレンドが急速に悪化する可能性に対する警戒感もあり、見方は分かれています。特に、大統領選挙の年は株価が上昇する傾向があり、また、24年度の連邦公開市場委員会(FOMC)ではハト派(金融政策の緩和を支持する派閥)メンバーが増えることから、新年度の株価上昇を期待した買いが続くと予想されています。

その他の考慮点

再来週は新年度の始まりであり、また、1月のFOMCを控えて、金融政策決定に重要な労働市場の動向を判断するため、12月の雇用統計に注目が集まっています。失業率は3.7%から3.8%へ上昇する見込みで、非農業部門の雇用者数も11月の19.9万人増から17万人増へと伸びが鈍化すると予想されています。これらの予想が的中すれば、1月のFOMCで政策金利を4回連続で据え置くことが正当化されるでしょう。

さらに、FRBはFOMC議事録(12月開催分)を公表する予定で、メンバーがハト派姿勢に転じた背景に注目が集まっています。議事録の内容で政策決定者のハト派姿勢が再確認されれば、24年の利下げ観測が強まり、株価を支える材料となるでしょう。

全体的な見通し

FRBは23年最後のFOMCで3回連続となる政策金利の据え置きを決定しました。声明では、経済活動の伸びが第3四半期の力強いペースから減速していると指摘され、スタッフ予想では24年度に3回の利下げが想定されるなど、急速にハト派色が強まったことが示されています。これまで利下げに慎重だったパウエル議長も、2%のインフレ目標達成するかなり前から金利引き上げを緩和する必要があると言及し、金利高への警戒感が大幅に後退し、株式相場の上昇を支えました。

短期金融市場はすでにFRBが24年度に計1.5%の利下げを実施することを織り込んでいます。FRB高官を含む一部の投資家は、大幅な利下げを織り込むのは時期尚早と慎重な意見を示しています。しかし、これまで24年の利下げの可能性は少ないとしていたFRB高官も、平均で3回の利下げを予想するなど、タカ派(金融政策の引き締めを支持する派閥)色が大幅に後退したことは確かです。金利先安観が相場を引き続き支えるカタリストとなるでしょう。

用語解説:初心者向け

  • サンタクロースラリー:年末商戦の活況や新年に向けた期待感から、株価が上昇する傾向にある現象を指します。
  • ゴルディロックス相場:物価と経済成長が適度で、株価が上昇しやすい状況を指します。
  • ソフトランディング:経済成長が緩やかに減速することを指します。
  • FOMC(連邦公開市場委員会):アメリカの金融政策を決定する会議を指します。
  • ハト派:金融政策の緩和を支持する派閥を指します。
  • タカ派:金融政策の引き締めを支持する派閥を指します。

場中解説は、以下のYouTubeチャンネルで配信しています。 https://www.youtube.com/channel/UCaf5-S-kVmyqzKctnYqIC_Q

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