2023年11月29日
世界経済は2023年、減速するがハードラインディングは回避し、2025年には持ち直すと予想
経済協力開発機構(OECD)は29日、世界経済見通しを発表しました。これによると、2023年の世界の経済成長率は2.9%となり、9月の前回予測の3.0%からわずかに下方修正されました。2024年の成長率は2.7%に据え置かれ、2025年には3.0%と持ち直す見通しです。
米国の成長率は、2023年が2.4%、2024年は1.5%と、前回予測から上方修正されました。2025年には1.7%に加速すると予想されています。
OECDは、米経済がハードラインディングするリスクは後退したが、住宅市場の低迷や原油価格高、融資低迷を踏まえると景気後退リスクは払拭されていないと指摘しています。
中国の成長率は、2023年が5.2%、2024年は4.7%と、前回予測から若干引き上げられました。2025年は4.2%と一段の鈍化を見込んでいる。
ユーロ圏は、域内最大の経済国ドイツが景気後退から脱したことを背景に、2023年は0.6%、2024年は0.9%、2025年は1.5%と成長が加速すると予想されています。
OECDは、ユーロ圏の銀行融資は高水準であり、利上げの完全な影響は依然不透明で予想以上に成長に重しとなる可能性があると警告しています。
主要先進国の中で唯一利上げをしていない日本については、2023年の成長率が1.8%から1.7%に若干下方修正され、2024年は1.0%に据え置かれました。2025年には1.2%に回復すると予想されています。
英国の成長率は、2023年が0.5%、2024年が0.7%、2025年は1.2%と予想されています。2023年の予想は0.3%から引き上げられた一方、2024年は0.8%から下方修正されました。
OECDは、各国の成長見通しは乖離しているものの、主要7カ国(G7)では債務が今後何年にもわたって増加し続けると予想され、財政面の圧力が高まるリスクは共通していると指摘しています。
考察
OECDの発表を受けて、世界経済は2023年に減速するものの、ハードライディングは回避され、2025年には持ち直す見通しとなりました。
米国の成長率は、住宅市場の低迷や原油価格高、融資低迷を踏まえても、2.4%と前回予測から上方修正されました。これは、雇用市場の堅調さや個人消費の好調さが寄与しています。
中国の成長率は、5.2%と前回予測から若干引き上げられました。これは、経済活動の正常化が進んでいることや、政府の景気対策が奏功していることが背景です。
ユーロ圏の成長率は、0.6%と前回予測から据え置かれました。これは、ドイツの景気後退からの脱却がプラス要因となっていますが、ロシアのウクライナ侵攻やエネルギー価格の高騰がマイナス要因となっています。
日本は、唯一利上げをしていないことから、2023年の成長率が1.7%と前回予測から若干下方修正されました。
英国は、2023年の成長率が0.5%と前回予測から引き上げられました。これは、インフレ率の鈍化がプラス要因となっています。
全体的な見通しとしては、世界経済は2023年に減速するものの、ハードライディングは回避され、2025年には持ち直す見通しとなりました。ただし、各国で成長率の乖離が拡大しており、リスク要因も依然として存在します。