来週の東京株式環境認識

2024年10月5日

【考察】

今週(9月30日〜10月4日)の日経平均株価は下落し、最終的に先週末に比べて1193.94円(3.00%)安い3万8635.62円で取引を終了しました。9月27日に行われた自民党総裁選の影響で、ドル/円相場が円安に動いたため、26日から27日の間に日経平均は1958円上昇しました。しかし、27日の決選投票で石破茂氏が選出されたことを受け、週明け30日には「高市トレード」で積み上げられたポジションが解消され、1910円の急落が見られました。

その後、中東情勢による地政学的リスクが高まり、日経平均株価は不安定な動きが続きましたが、週の中頃以降は3万8500円付近での底堅い値動きが目立ちました。また、ドル/円相場では10月2日、円安水準をさらに上回り、需給整理が完了したと見られ、石破政権に対する政策期待が高まりました。

【その他の考慮点】

9月の米国雇用統計では、非農業部門の雇用者数の増加が市場予想を上回り、失業率も予想以上に低下しました。この結果、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅な追加利下げの可能性は低くなったと考えられています。雇用者数は7月と8月で合計7万2000人の上方修正が行われ、米国の労働市場が冷え込む懸念はやや和らいでいます。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、9月に実施された0.5ポイントの大幅利下げは、労働市場を守るための措置だったと説明しており、今回の統計は金融当局にとって好ましい結果とされています。また、金利スワップ市場でもFOMCによる11月の大幅利下げ観測は後退し、0.25ポイント未満の利下げが見込まれています。

【全体的な見通し】

米国の経済指標が予想を上回る結果となっていることから、11月のFOMCでの大幅利下げ観測はさらに後退する可能性があります。一方、日本国内では石破総理が現状での追加利上げを否定したため、日米の金利差を狙った海外からの資金流入が期待される場面もありそうです。

また、バークシャー・ハサウェイが円建て社債を発行する計画が報じられたことで、日本の商社株が注目されています。ウォーレン・バフェット氏率いる同社による日本への投資が強化されるとの見方から、押し目買いの意欲が高まっていると考えられます。ただし、中東情勢がさらに緊迫するようであれば、買いを控える動きも強まりそうです。

【用語解説:初心者向け】

  • 日経平均株価: 日本の株式市場を代表する株価指数。主に大企業225社の株価の平均値を表す指標。
  • ドル/円相場: ドルと円の為替レート。円安・円高の動きは日本の経済に大きな影響を与える。
  • ポジション解消: 投資家が保有していた株や為替を売却して、取引を終了させること。
  • 地政学リスク: 特定地域の政治的・軍事的な不安定要因が経済や市場に与える影響。
  • 雇用統計: 米国の雇用状況を示す指標。毎月発表され、経済の状況を把握する重要なデータ。
  • 利下げ: 中央銀行が金利を引き下げること。景気を刺激するための政策手段。
  • FOMC: 米連邦公開市場委員会。アメリカの金融政策を決定する機関。
  • 商社株: 日本の大手商社に関連する株式。貿易や資源開発を手がける企業の株。
  • 押し目買い: 株価が一時的に下がったタイミングで、再度上昇を見込んで買う行為。
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