東京株式市場の動向とインフレの影響
考察
東京株式市場は14日にもみ合いの展開が予想されます。前日の13日には小幅ながら反発し、日経平均株価が底堅い動きを見せました。ただし、シカゴ日経平均先物の清算値が210円高となり、これが影響して日経平均株価も良好なスタートが切れそうです。しかし、前日に心理的な3万3000円に接近した際には戻り待ちの売りに押され、上値の重さも考慮すべきです。
一方で、先週発表されたミシガン大消費者信頼感指数の11月期待インフレが予想外に上昇し、追加の利上げ観測が再燃しています。1年先の期待インフレ率が4.4%となり、5-10年先も3.2%へ上昇。原油や食品の価格上昇が影響して、消費者の期待インフレ率が再び高水準に達しました。連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ期待指数に注目しており、これが市場に影響を与える可能性があります。
しかし、NY連銀の消費者期待調査では、10月の期待インフレ率が1年先で3.57%と低下し、3年先は変わらず3%となりました。失職の確率がわずかに上昇し、職が見込める確率もわずかに上昇しています。賃金は0.1%上昇し、10月の消費者物価指数(CPI)では総合では伸びが鈍化するものの、コア指数では横ばいの予想があります。これらの要素から、インフレの影響は市場全体に均等に浸透しているわけではないことが示唆されます。
その他の考慮点
FRBは利上げに関して慎重な姿勢を見せていますが、多くのエコノミストはFRBの利上げが終了したと見ています。ただし、FRB高官は利上げの選択肢を完全に排除しておらず、来年1月の利上げ確率は30%近くとなっています。市場もまだ利上げの可能性を完全には排除しておらず、これがドルの売り難い環境を生んでいます。
全体的な見通し
東京株式市場はもみ合いの展開が予想されつつも、前向きな要因が根強く残っています。インフレの影響は一部で強く出ていますが、市場全体には均等に広がっているわけではありません。FRBの利上げに対する見方には意見の分かれるところがあり、来年の動向には慎重な注視が必要です。
用語解説【初心者向け】
- 日経平均株価: 東京証券取引所に上場している銘柄の中から選ばれた225銘柄の株価の平均値。日本の株式市場の代表的な指標。
- 先物取引: 未来の日付での商品や金融商品の取引。将来の価格を確定することを目的として行われる。
- 清算値: 取引の終了時における契約の精算価格。通常、先物取引などで使用される。
- インフレ: 一般物価水準が上昇し、通貨の価値が低下する現象。物価の上昇により、同じ金額でも実質の価値が減少する。
- 期待インフレ率: 消費者や投資家が将来のインフレ率に対して期待する割合。景気や金融政策の影響を示す指標。
- 連邦準備制度理事会(FRB): アメリカ合衆国の中央銀行。金融政策の策定や通貨発行などを担当。
- 消費者期待調査: 消費者が将来にわたる経済や物価に対する期待を調査する指標。
- 消費者物価指数(CPI): 特定の一定の一般家庭の消費者が購入する一連の商品とサービスの価格の変動を表す指標。
- 利上げ: 中央銀行が政策金利を引き上げること。通常、インフレの抑制や経済の調整を目的とする。