来週の市場【環境認識】

2025年4月27日

【考察】
来週の米ドル・円相場は、安定した動きが続く可能性があります。米中の貿易に関する関税交渉は短期間で終わるとは限らず、中国外務省が「米国とは関税に関して協議や交渉をしていない」と明言しています。このため、関税問題を巡る両国の対立が続くと予想され、相場に不安定要素が残るでしょう。しかし、トランプ政権が日本などの同盟国との貿易協議に進展を期待しているため、リスク回避のためのドル売り・円買いが縮小することも考えられます。

トランプ米大統領はパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長を解任する考えはないとしていますが、利下げを早期に実施するよう求めている姿勢に変化はありません。5月の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利は据え置きとなる見通しですが、1-3月期の国内総生産(GDP)速報値や4月の雇用統計が市場予想を下回った場合、6月の利下げ観測が強まる可能性があり、その場合ドルの上値は重くなるでしょう。

【その他の考慮点】
日経平均株価は回復基調にあり、25日移動平均線(25MA)を約1ヶ月ぶりに上回りました。米中貿易戦争の影響を懸念する動きは続いていますが、トランプ大統領の発言からは米国金融市場の混乱をこれ以上引き起こしたくないという姿勢が見て取れます。また、米国のベッセント財務長官も市場重視の発言を行い、「米国のトリプル安」を放置しない姿勢を示しています。このため、米国市場が安定を見せていることは安心材料となり、日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は28ポイント台まで低下しています。投資家の心理は改善しつつありますが、市場が完全に安定した水準(20ポイント前半)にはまだ達しておらず、大規模な買いは入りにくい状況です。それでも、過度な悲観的な見方は薄れてきたと言えるでしょう。

【全体的な見通し】
トランプ大統領の発言や米中貿易摩擦の進展により、相場は引き続き変動しやすいですが、投資家のリスク回避姿勢は徐々に薄れつつあります。ドル・円相場が一時的に143円70銭台で安定していることからも、決算発表を契機に「アク抜け感」や「見直し買い」が期待できるかもしれません。今後の動きに注目が集まりますが、過度な警戒感は後退していると考えられます。

【用語解説:初心者向け】

  • 米ドル・円相場(米ドル円相場): 米ドルと日本円の交換比率。
  • 関税: 輸入品に対して課される税金。
  • リスク回避: 市場の不安定要素を避けるために、安全資産に資金を移す行動。
  • 連邦準備制度理事会(FRB): 米国の中央銀行であり、金融政策を決定する機関。
  • FOMC(連邦公開市場委員会): FRBの政策金利を決定する会議。
  • 国内総生産(GDP): 一定期間内に国内で生産された全ての財とサービスの総額。
  • ボラティリティー・インデックス(VI): 市場の不安定さを示す指標。
  • アク抜け感: 市場の不安や懸念が解消された後の安定感。
  • 見直し買い: 企業の業績などが予想より良くなった場合、株を再評価して買うこと。
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