日本銀行は、来週予定されているトランプ米次期大統領の就任発言により、金融市場で大きな混乱が起きない場合、23日と24日に開かれる金融政策決定会合で追加利上げを検討する見通しだ。複数の関係者の話で明らかになった。
関係者によれば、日銀が政策判断で重視する春闘を含む今年の賃上げは、支店長会議での報告などを踏まえ、昨年の33年ぶりの高水準に続く好調が期待されている。賃上げの継続的な動きが広がる中、賃金コストの価格転嫁も順調に進んでいるとみられる。
20日に就任するトランプ氏の発言では、関税をはじめとした経済政策の具体的な内容や日本への影響が注目される。関係者の話によれば、金融市場に重大な波乱や世界経済の見通しを覆すような事態が生じない限り、政策金利を0.25%から0.5%程度に引き上げる準備が整いつつあるという。最終的な判断は、会合直前までの経済データや市場の動向を見極めた上で行われる予定だ。
植田和男総裁は15日、氷見野良三副総裁の発言を受け、次回の会合で利上げを議論して判断する方針を明言した。タイミングの判断では、米国の新政権による経済政策の影響や春闘に向けた勢いが重要であると再度強調した。こうした発言を受け、金利スワップ市場では利上げが織り込まれる確率が約8割まで上昇している。
会合では、経済や物価情勢の見通し(展望リポート)についても議論が行われる予定で、生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価(コアコアCPI)の2024年度および2025年度の見通しが上方修正される可能性が高いという。関係者によると、物価見通しの上昇が利上げの判断を後押しする材料になるとされている。
植田総裁は、経済や物価情勢の改善が続けば、それに応じた利上げを行い、金融緩和の度合いを調整する方針を繰り返し述べている。日銀は、物価安定目標である2%の達成が持続的かつ安定的に実現しつつあるとみており、見通し通りの推移が続いていると関係者は語った。