円安の行方はどうなる?2024年のドル・円相場予想

円安の行方はどうなる?2024年のドル・円相場予想

ドル・円相場は、米国と日本の金融政策や経済状況、政治的な要因などに影響されますが、来年はどのような展開が見込まれるのでしょうか。

まず、今年のドル・円相場の動きを振り返ってみましょう。今年は、米国のインフレが高まり、FRBが利上げを進めるという期待が高まりました。一方、日本はコロナ禍の影響で景気が低迷し、日銀はマイナス金利を維持するなど、金融緩和を続けました。この結果、米国と日本の金利差が広がり、ドル高・円安の流れが強まりました。特に、11月には、米国のインフレ率が6.2%と30年ぶりの高水準に達し、FRBが利上げを早めるという観測が強まりました。これにより、ドル・円相場は151円90銭まで上昇し、1990年以来の高値に迫りました。

しかし、12月に入ると、ドル・円相場の上昇は一服しました。その理由は、FRBがインフレを一時的なものと見なし、利上げには慎重な姿勢を示したことです。また、米国の消費者物価指数や生産者物価指数が鈍化し、インフレの勢いが弱まったこともドル売りを誘いました。さらに、日本では、日銀の植田総裁がマイナス金利の廃止の可能性に言及したことで、日銀の金融政策の変化に対する期待が高まりました。これらの要因により、ドル・円相場は12月4日現在、148円台まで下落しました。

では、来年のドル・円相場はどうなるのでしょうか。私は、年前半はドル売り・円買いの流れが続き、年後半はドル買い・円売りに転じると予想します。その理由は以下の通りです。

  • 年前半は、米国のインフレが沈静化し、FRBが利上げを見送る可能性が高いと考えます。また、日本では、日銀が金融政策の見直しを行う可能性があります。日銀がマイナス金利を廃止したり、量的・質的緩和の規模を縮小したりすると、円高になりやすいです。さらに、日本の景気が回復すると、海外への投資が減り、円の需給が改善されます。これらの要因により、ドル・円相場は140円まで下落すると予想します。
  • 年後半は、米国の景気が安定し、FRBが利上げに踏み切る可能性が高まると考えます。また、日本では、政治的な不安定要因が増えると予想します。9月には、自民党総裁選が行われ、その後には衆議院選挙が予定されています。政権交代や政策の変更が起こると、円安になりやすいです。さらに、11月には、米国の大統領選が行われます。現時点では、バイデンとトランプの対決が予想されていますが、どちらが勝っても、米国の政治は分断される可能性が高いです。これにより、米国の債務上限問題が再燃し、米国の信用格下げが懸念されます。これらの要因により、ドル・円相場は155円まで上昇すると予想します。

以上が、私の2024年のドル・円相場予想です。場中解説は、以下のYouTubeチャンネルで配信しています。 https://www.youtube.com/channel/UCaf5-S-kVmyqzKctnYqIC_Q

用語解説【初心者向け】 以下の用語について、簡単に説明します。

  • ドル・円相場:米ドルと日本円の交換レートのことです。例えば、ドル・円相場が150円という場合、1ドルを150円で買えるという意味です。
  • 金利差:米国と日本の金利の差のことです。金利が高い方の通貨は、金利収入が得られるため、需要が高まります。逆に、金利が低い方の通貨は、金利支払いが発生するため、需要が減ります。金利差が広がると、金利が高い方の通貨が高くなり、金利が低い方の通貨が安くなります。
  • クロス円:日本円以外の2つの通貨の交換レートのことです。例えば、ユーロ・円相場は、ユーロと日本円の交換レートです。クロス円は、ドル・円相場と他の通貨のドル相場に影響されます。例えば、ドル・円相場が上昇し、ユーロ・ドル相場が下落すると、ユーロ・円相場は下落します。
  • FRB:米国の中央銀行のことです。金融政策を決定し、金利や通貨の供給量を調整します。金利を上げると、通貨の需要が高まり、金利を下げると、通貨の需要が減ります。
  • 日銀:日本の中央銀行のことです。金融政策を決定し、金利や通貨の供給量を調整します。金利を下げると、通貨の需要が減り、金利を上げると、通貨の需要が高まります。
  • マイナス金利:金利が0%以下のことです。マイナス金利を導入すると、銀行は預金に対して金利を支払わないどころか、金利を徴収します。これにより、銀行は預金を減らし、貸し出しや投資を増やすようになります。また、預金者は預金を減らし、消費や投資を増やすようになります。これらの効果により、経済活動が活発になり、物価が上昇するという狙いがあります。
  • 量的・質的緩和:日銀が行っている金融政策の一つです。日銀は、国債や企業債などの金融資産を大量に買い入れることで、市場にお金を供給します。これにより、金利を低く抑え、通貨の価値を下げることを目指します。また、日銀は、インフレ率が2%に達するまで、金融緩和を続けるという目標を掲げています。これは、物価が上昇すると、消費者や企業が将来の物価上昇を予想し、今のうちに消費や投資をするようになるという効果を期待しています。
  • GDP:国内総生産のことです。国内で生産されたすべての商品やサービスの価値の合計です。GDPが増えると、経済が成長していると言えます。GDPが減ると、経済が縮小していると言えます。
  • CPI:消費者物価指数のことです。消費者が購入する商品やサービスの価格の変動を測る指標です。CPIが上昇すると、物価が上昇していると言えます。CPIが下降すると、物価が下降していると言えます。
  • PPI:生産者物価指数のことです。生産者が購入する原材料や中間財の価格の変動を測る指標です。PPIが上昇すると、生産コストが上昇していると言えます。PPIが下降すると、生産コストが下降していると言えます。
  • 債務上限問題:米国が法律で定めた政府の借金の上限のことです。債務上限に達すると、政府は新たな借金をできなくなり、既存の債務の返済や公共サービスの維持が困難になります。債務上限を引き上げるには、民主党と共和党の合意が必要ですが、政治的な対立が激しいため、しばしば危機的な状況に陥ります。債務上限問題が深刻化すると、米国の信用力が低下し、米国債の格下げや金利の上昇が起こります。
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