インフレ抑制を最優先事項とする

パウエル議長、インフレ抑制に強い意欲示すも利上げの行方は不透明

8月29日

連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、カンザスシティ連銀がワイオミング州ジャクソンホールで開催したシンポジウムで、インフレ抑制を最優先事項とすると改めて強調した。パウエル議長は、インフレが改善傾向にあるものの、制御には長い道のりがあるとし、さらなる利上げの準備があると主張した。

ただし、パウエル議長は今後の方針については明確なシグナルを示さなかった。そのため、市場は年内のあと1回の利上げ予想を維持している。

今後の金融政策の行方を左右する指標

9月20-21日に開催されるFRBの定例会合では、金融政策の行方を左右する重要な指標が発表される。

特に7月PCEコア価格指数は、FRBがインフレ指標として注視しているものであり、前年比+4.2%で6月から伸びが再び拡大する見込みだ。インフレの制御には時間がかかることをあらためて証明する可能性がある。

また、8月雇用統計では、失業率が3.5%と依然50年超ぶりの低水準付近での推移が予想されており、労働市場のひっ迫鎮静化の兆候は見られないと予想される。これにより、年内の利上げ観測が強まる可能性がある。

一方で、パウエル議長が注目している7月JOLT求人件数は急速に減少しつつあり、9月FOMCの利上げ見送りを正当化する可能性がある。

重要用語解説

  • ジャクソンホール会議:FRBが毎年夏にワイオミング州ジャクソンホールで開催するシンポジウム。金融政策に関する議論が行われる。
  • PCEコア価格指数:個人消費支出に基づくコアインフレ指数。FRBが重視しているインフレ指標の一つ。
  • JOLT求人件数:1カ月間に労働市場に出回った求人数。労働市場のひっ迫度合いを示す指標の一つ。

考察

パウエル議長は、インフレ抑制を最優先事項とすると改めて強調したが、今後の利上げの行方は不透明だ。市場は年内のあと1回の利上げ予想を維持しているが、7月PCEコア価格指数や8月雇用統計の結果次第では、利上げ観測が強まる可能性がある.テクニカル的には、次の利上げを織り込みにかかるまでは現在の上昇チャネルが継続するものと推測する。

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