市況解説

株式相場見通し

10月8日の米国株式市場は上昇し、ダウ平均は前日比259.65ドル上昇して43,988.99ドル、ナスダックも17.32ポイント上げて19,286.78で取引を終え、両指数ともに過去最高を記録しました。一方、大阪取引所のナイト・セッションで日経225先物は、日中終値より360円安の39,140円で推移しました。

今週の日経平均株価は40,000円に近づく場面もありましたが、上値は重く失速。来週は、11日から特別国会が開催され、首相指名選挙が予定されています。現在の石破政権が継続する見通しですが、自民党と公明党の連立に加え、国民民主党との部分連携を模索する動きが見られ、安定した政権運営には課題が残りそうです。この政治的な不安定感から、海外投資家による積極的な買いが期待しづらい状況が続いています。

また、来週は約1,400社の決算発表が予定されており、指数全体の動きは停滞し、個別銘柄への物色が中心となる可能性があります。取引時間の延長によって、15時以降に決算を発表した銘柄が当日中に取引材料として扱われることも増え、プライム市場での売買代金が増加傾向にあるため、来週も決算をきっかけとした活発な取引が期待されます。

為替市場では、1ドル=154円台後半まで円安ドル高が進行しました。12月の日本銀行金融政策決定会合での追加利上げ観測が強まっていますが、日銀が円安抑止のために利上げに踏み切る可能性は低いと見られています。しかし、植田和男日銀総裁が10月31日の記者会見で利上げに前向きな発言をしたことから、完全に排除できない状況です。実際、円安ドル高の動きは日銀会合の報道を受け、一旦落ち着きを見せています。

さらに、ドルインデックスも7月以来の105.3の水準まで上昇しましたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)が市場予想通りに0.25%の利下げを決定し、パウエルFRB議長が引き続き利下げ方針を示したことで、一時的にドル買いの動きは止まった模様です。円安ドル高の動きが弱まれば、日本の輸出関連銘柄にとっては重しとなる可能性が考えられます。

為替市場見通し

来週のドル・円相場は、やや伸び悩む展開となる可能性が指摘されています。米大統領選でトランプ前大統領が再選を果たし、減税措置により企業の収益増や消費拡大が期待され、米国経済が成長を続けるとの見方が広がっています。そのため、ドル買いの流れが大幅に減少する可能性は少ないようです。11月6日から7日にかけて行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25ポイントの利下げが決定しましたが、次回12月の会合では追加の緩和が見送られる可能性も考えられます。

また、財務省の三村財務官は7日、円安の進行に関連し、「投機的な動きも含め、非常に高い緊張感をもって見守っている」とコメント。市場では「ドル円が1ドル=155円を超える水準に達した場合、円安を抑えるための為替介入が実施されるかもしれない」との警戒感が強まっています。そのため、ドルの上昇幅は限定的となる可能性があるでしょう。

一方、日本銀行は金融政策の正常化を進める方針を継続しており、12月の会合で市場が安定している場合には追加利上げを検討する可能性も示唆されています。これがドルの上昇を抑える一因ともなり得ます。

さらに、11月15日に発表予定の日本の7月から9月期の国内総生産(GDP)は、前の期(4-6月期)と比べて成長率が低下するとの予測があります。市場予想を下回る結果が出た場合、利上げの時期が先送りされるとの見方が強まり、リスク回避のドル売り・円買いの圧力は一時的に和らぐ可能性が残されています。

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