来週の注目すべきイベント

来週は、アメリカの消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)といった重要なインフレ指標が注目されています。これらのデータが発表されることで、インフレの鈍化が確認される可能性があります。

アメリカ経済の約7割は消費によって成り立っているため、ミシガン大学消費者信頼感指数も注目されており、この指標の結果が今後の経済の動きを左右するかもしれません。特に、消費者信頼感指数や1年先の期待インフレ率のさらなる低下が予測されています。

連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は、9月に利下げを開始する必要があると述べ、前倒しでの利下げを支持する立場を示しています。ただし、インフレや消費者信頼感指数の結果次第では、さらなるドルの下落が進む可能性もあります。

8月の総合CPIは前月比で+0.2%の伸びが予測されており、7月と同様の数値です。また、コアCPIも前月比+0.2%で、こちらも変わらない見込みです。7月に上昇していた住居費も、緩やかな下降トレンドに戻ると見られています。

年比では総合CPIが+2.6%と予想され、前月の+2.9%から鈍化すると見込まれています。コアCPIは前月と同様に+3.2%の予測です。

ただし、他の国でも利下げが予測されているため、ドルの下落は限られるかもしれません。欧州中央銀行(ECB)は来週の理事会で追加利下げをほぼ確実視されており、ラガルド総裁の発言次第で、年内の利下げペースが決まる見込みです。特にドイツの成長が予想を下回るなどの影響で、ユーロに売り圧力がかかる可能性があります。

また、英国では賃金の伸びが鈍化する見通しがあり、これが利下げを正当化するため、ポンドの上値も限定される可能性があります。

中国経済の鈍化が懸念されている中、PPI、CPI、および貿易収支が注目されています。

最後に、アメリカでは民主党のハリス候補と、共和党のトランプ候補による大統領候補者討論会が行われます。

用語解説【初心者向け】

消費者物価指数(CPI): 消費者が購入する商品やサービスの価格変動を測定した指標です。インフレ(物価上昇)を把握するための代表的なデータです。

生産者物価指数(PPI): 生産者が販売する商品の価格変動を測定した指標です。企業間の取引価格の動きを把握するために使用されます。

ミシガン大学消費者信頼感指数: 消費者の経済に対する信頼度を示す指標で、消費者がどの程度経済を楽観視しているかを測ります。消費活動の先行指標とされます。

連邦準備制度理事会(FRB): アメリカの中央銀行で、通貨政策を担当しています。経済の安定や雇用の最大化を目指して、金利や通貨供給量を調整します。

欧州中央銀行(ECB): ユーロ圏19カ国の中央銀行で、EUの通貨政策を統括しています。経済成長とインフレのバランスを取りながら、金利の設定や金融政策を行っています。

■来週の主な注目イベント
●米国
9日:卸売り売上・在庫
10日:大統領候補討論会
11日:CPI
12日:失業保険申請件数、PPI
13日:ミシガン大消費者信頼感指数
●欧州
9日:独CPI
12日:欧州中央銀行(ECB)定例理事会
13日:ユーロ圏鉱工業生産、仏CPI、欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミスト、理事のレーン氏が講演
●日本
9日:GDP
12日:PPI
13日:鉱工業生産
●英国
9日:失業保険申請件数、失業率
11日:鉱工業生産

●中国
9日:PPI、CPI
10日:貿易収支

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