来週の東京株式環境

2024年9月7日

【考察】

今週の日経平均株価は、1週間で2256.28円下落し、5.84%のマイナスで36391.47円と大きく下がりました。これは、8月3日に発表されたISM製造業景気指数や4日のJOLTS求人件数が市場の予想を下回ったことから、景気の減速懸念が再び高まり、米国株も下落した影響を受けたためです。この影響で、為替市場では円高ドル安が進み、東京市場でも主力株が大きく売られる動きが見られました。

また、半導体関連では、アメリカの大手企業エヌビディアやフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の大幅な下落を受けて、国内の半導体関連株も売られる展開となり、これがさらに市場の下げ要因となりました。週末に発表された米国のサービス業PMIは市場予想を上回ったものの、ADP雇用者数の増加がわずか9.9万人で、2021年1月以来の低水準にとどまったことから、8月の米雇用統計への不安が強まりました。その結果、為替市場では1ドル=142円台に突入し、日経平均株価は4日連続で下落し、8月13日以来の低水準となりました。

【その他の考慮点】

8月の米雇用統計が発表された後、FRB(米連邦準備制度理事会)のウォラー理事が大幅な利下げの可能性に言及したことで、市場の状況は流動的となっています。今後、9月17-18日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)や、9月19-20日に開催予定の日本銀行の金融政策決定会合が市場の注目を集めています。FOMCでは利下げの実施が確実視されており、その幅が0.25%か0.5%かが焦点となっています。また、日銀会合では現状の金融政策が維持される見通しですが、植田日銀総裁が年内の追加利上げについて言及するかが注目されています。

さらに、9月11日には8月の米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されています。先日のジャクソンホール会議で、パウエルFRB議長がこれまでの「インフレ重視」から「インフレと雇用のバランスを重視」する方針に転換することを示唆したため、CPIの重要性は若干低下したものの、9月のFOMC前に注目すべき経済指標であることに変わりありません。米国の経済指標の影響を受けやすい地合いはしばらく続くと予想されます。

【全体的な見通し】

市場は今後、日米の中央銀行の会合や米国の経済指標に大きく左右される展開が続くでしょう。特に、米国の利下げ幅や日本銀行の追加利上げの可能性、そして米国の経済指標がどのような結果を示すかによって、投資家の心理が大きく変動する可能性があります。したがって、短期的には不安定な相場が続くと予想されますが、今後の政策や経済指標の動向次第では、徐々に安定感を取り戻す可能性もあるでしょう。

【用語解説:初心者向け】

  • ISM製造業景気指数:アメリカの製造業の景況感を示す指数です。この指数が50を上回ると、製造業が拡大していると判断されます。
  • JOLTS求人件数:アメリカの雇用状況を示す指標で、企業が出している求人の数を表します。
  • 半導体株:半導体を製造・販売する企業の株式を指します。半導体は、電子機器に欠かせない重要な部品です。
  • SOX指数:アメリカのフィラデルフィア証券取引所で取引されている半導体関連企業の株価動向を示す指数です。
  • PMI:購買担当者景気指数のことで、製造業やサービス業の景況感を示す指標です。
  • ADP雇用者数:アメリカの民間雇用サービス会社であるADPが発表する、雇用者数の変動を示す指標です。

<9月9日(月)>
◆決算:くら寿司(2695)
◆4-6月期四半期実質国内総生産(GDP)改定値
◆7月国際収支/経常収支/貿易収支
◆8月景気ウオッチャー調査
◆中8月消費者物価指数(CPI)
◆中8月生産者物価指数(PPI)
◆米7月卸売売上高
◆米7月消費者信用残高

<9月10日(火)>
◆決算:三井ハイテック(6966)
◆中8月貿易収支
◆独8月消費者物価指数(CPI)改定値
◆英8月失業率

<9月11日(水)>
◆決算:神戸物産(3038)、ANYCOLOR(5032)
◆英7月月次国内総生産(GDP)
◆英7月鉱工業生産
◆米MBA住宅ローン申請指数
◆米8月消費者物価指数(CPI)

<9月12日(木)>
◆決算:ラクスル(4384)、スマレジ(4431)
◆7-9月期四半期法人企業景気予測調査
◆8月国内企業物価指数
◆米8月卸売物価指数(PPI)

<9月13日(金)>
◆9月限先物オプション特別清算指数算出日(SQ)
◆決算:エイチ・アイ・エス(9603)
◆7月鉱工業生産
◆欧7月鉱工業生産
◆米8月輸入物価指数
◆米9月ミシガン大学消費者態度指数 速報値

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