東京株式市場の見通し(2023/11/8)
考察
東京株式市場は8日、前日に大幅に下落した後、相場はもみ合いの展開が予想されます。前日の米国株式市場が上昇したことを受け、日経平均株価は買い先行のスタートが予想されます。ただし、水曜日は特別清算指数(SQ)値を算出する日であり、市場が荒れやすいというアノマリーがあるため、相場の動向には一定の不透明感が残ります。
連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、およびシカゴ連銀総裁のグールズビーなどの高官は、インフレ目標達成の任務はまだ終了しておらず、2%のインフレ目標達成を再度公約しています。特に、ボウマン理事は最近の雇用統計で労働市場の減速が明らかになったにもかかわらず、引き続き追加利上げが必要だとの見解を示しており、タカ派姿勢を崩していません。
一方で、長期債利回りの急上昇については、ウォラー理事が懸念を表明しています。彼は、10年債利回りの1ポイント近くの上昇は、中央銀行や金融市場において相当な影響を及ぼすと述べ、警戒心を示しました。彼の見解は政策には関係していないものの、利回りの急上昇が金融市況に警告を与えた可能性があるとの見方が広がっています。
その他の考慮点
今週は、パウエルFRB議長が米国時間8日に挨拶し、9日には国際通貨基金(IMF)会合の討論会に参加する予定です。彼の発言内容や市場への示唆には、追加利上げの可能性を見極める上で注目が集まるでしょう。
全体的な見通し
東京株式市場は引き続き、米国株式市場の動向やFRBの政策発表に敏感に反応することが予想されます。特に、インフレ率や長期債利回りの動向に関する情報には注意が必要で、市場参加者はこれらの要因を綿密に分析しながら投資判断を行うべきです。
その他
以上、市場の動向と関連する要因について簡潔にまとめました。投資に際しては、リスク管理を十分に考慮した上で、慎重な判断が求められます。
補足
- SQ(特別清算指数): 東京証券取引所において、日経平均株価オプションの清算値を決定する指数。毎月第2金曜日に算出され、市場の動向を大きく左右することがある。
用語解説【初心者向け】
- インフレ目標: 中央銀行が経済安定のために設定する、物価上昇率の目標値。通常は2%が目標とされ、この目標に向かって金融政策を調整する。
- 長期債利回り: 国債や企業債などの長期債券の利回り。利回りが上昇すると、債券価格は下落し、市場における金利水準や経済の信頼度を示す指標として注目される。