2023年10月30日
日銀、現行の金融政策を維持か
日銀は30日、金融政策決定会合を開き、現行の金融政策を維持する見通しです。
決定会合では、経済・物価情勢の展望を点検します。消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年度比上昇率は、2023年度は3%付近、2024年度も上方修正される見通しです。しかし、賃金上昇が想定以上に進まないことから、物価目標の実現にはなお距離があるとの見方が日銀に根強いため、マイナス金利解除やYCCの撤廃といった政策修正の可能性は低いとみられています。
景気は、4-6月期実質国内総生産(GDP)の強い結果を反映して、2023年度の実質GDPの予想は前回の前年度比1.3%増から上方修正される可能性が高いとみられます。しかし、物価高が続く中で消費の抑制傾向が強まることへの警戒感もあるため、今後の経済動向には注視が必要です。
日銀は、経済・物価を巡り、上下双方向の不確実性は引き続き大きいと判断し、フォワードガイダンス(先行き指針)は「躊躇なく追加緩和」の文言も含めて維持される見通しです。
一方、足元で長期金利が一時0.865%まで上昇し、市場では日銀が今回の会合でYCCの変動幅上限を再修正するとの見方が出ています。日銀内には、金融緩和継続のためにも、事前の柔軟化が必要になるとの考えもあるため、会合ぎりぎりまで市場動向を見極めるとみられます。
用語解説
- 経済・物価情勢の展望:日銀が毎回金融政策決定会合で公表する、今後の経済・物価情勢に関する見通し
- コアCPI:消費者物価指数(CPI)から生鮮食品を除いた指数
- フォワードガイダンス:日銀が金融政策の今後の方向性を示す指針
- YCC:日銀が長短金利を操作する金融政策
- 長期金利:10年以上の期間で運用される債券の利回り
- 連続指し値オペ:日銀が市場で買いオペを実施する際に、買いオペの条件を常に一定に保つようにする手法
考察
日銀は、今回の会合で現行の金融政策を維持する見通しです。物価目標の実現にはなお距離があるとの見方が日銀に根強いため、マイナス金利解除やYCCの撤廃といった政策修正の可能性は低いとみられます。
一方、足元で長期金利が上昇していることから、日銀はYCCの変動幅上限を再修正する可能性があるとみられます。しかし、米金利上昇が主因との見方が日銀に多いため、米金利が低下トレンドに転じれば日本の金利も落ち着く可能性もあります。
今後の金融市場の動向に注視が必要です。