来週の株式相場

2023年11月11日

株式相場見通し

来週の株式相場は、米国の金利政策をにらんで神経質な展開が継続しそうだ。先週は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がインフレ動向によっては追加利上げを再び示唆したことで、米長期金利が上昇し、株式市場は下落した。しかし、週末には米長期金利が低下し、米国市場でハイテク株が買われた流れを受け、日経平均も上昇して取引を終えた。

来週は、週初は米国の株高を好感して日経平均も上昇する可能性が高い。しかし、週半ばからは、米国で14日に10月消費者物価指数(CPI)、15日に10月小売売上高が発表される。CPIは前月比0.1%増(9月は同0.4%増)、小売売上高は前月比0.4%減(9月は同0.7%増)とそれぞれ減速が予想されている。その内容次第では、株式市場は再び下落する可能性がある。

また、17日には米国のつなぎ予算の期限を迎える。再び政府機関閉鎖が回避されるよう暫定措置について検討しているようだが、今のところ見通しは不透明であり、注意が必要だろう。

一方、11月中旬は例年、日経平均のボラティリティ(変動率)が高まりやすい。ヘッジファンドの換金売りが出やすく、一時的に波乱となりやすい傾向があるためだ。

また、海外機関投資家がベンチマーク指標として利用しているMSCI指数の定期銘柄入れ替えについて、次回は11月15日に発表される見通し。その内容次第では国内需給のかく乱要因としてはたらくことになる。

日経平均は、心理的な節目の32500円水準では強弱感が対立して上値抑えられている一方、企業決算は相対的に悪くなく、32000円ライン接近では押し目買い意欲が強まる傾向にある。ボックス圏での推移が想定されるなか、基調は決して弱くはなく、年末高に向けた態勢固めとなりそうだ。

考察

来週は、米国の金利政策動向や経済指標発表、つなぎ予算の期限など、株式市場に影響を与える材料が相次ぐ。そのため、神経質な展開が継続し、波乱含みの相場となりそうだ。

個別銘柄では、決算発表を控える東芝やみずほフィナンシャルグループなど、好業績を発表した銘柄に選別物色が向く可能性がある。また、円安基調が継続すれば、自動車株やその周辺株にも物色意欲が高まりそうだ。

決算発表の一巡による手掛かり難から、中小型の材料株にも物色意欲が高まってくる可能性がある。また、米国のブラックフライデーを控えて小売、消費関連のニュースフローも増加することが予想され、国内でも消費関連株に関心が向きやすくなる。

用語解説

金利政策:中央銀行が金利をどのように運用するかに関する政策。
CPI:消費者物価指数。消費者が日常的に購入する商品やサービスの価格変動を示す指標。
小売売上高:小売店の売上高の合計額。
つなぎ予算:米国連邦議会が予算を成立させるまでの間、連邦政府の財政運営を継続するために必要な予算。
MSCI指数:モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルが算出する株価指数。

初心者向け

金利政策:金利を上げれば、お金の貸し借りが難しくなり、景気が冷え込む。逆に、金利を下げれば、お金の貸し借りがしやすくなり、景気が盛り上がる。
CPI:消費者物価指数が上昇すれば、生活費が上がる。逆に、消費者物価指数が下落すれば、生活費が下がる。
小売売上高:小売売上高が減少すれば、消費者の購買意欲が低下していると考えられる。

タイトルとURLをコピーしました