■日米長期金利の上昇一服や円安が支援
今週の日経平均は、280.9円高の32473.65円と反発しました。米7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を下回りました。また、日本銀行が7月に開催した金融政策決定会合では、金融緩和の継続が示唆されたため、円安基調が相場を支援しました。また、米ニューヨーク連銀総裁のインフレに関する発言や国債入札の好調、長期金利の上昇の鈍化も投資家の心理を改善させました。ただし、中国の貿易収支悪化や格付け会社の動向が相場に影響を及ぼしましたが、週末には円安が進行し、米消費者物価指数(CPI)を前にした買い戻しがあり、相場は上昇しました。
■インバウンドや景気敏感株が優位か
次週の東京株式市場では、インバウンド需要や景気敏感株が注目されるでしょう。米国の消費者物価指数(CPI)やミシガン大学消費者調査の期待インフレ率は改善を示唆しましたが、卸売物価指数(PPI)は市場予想を上回りました。また、米サンフランシスコ連銀の発言や債券入札の結果により、米国の債券利回りは上昇しました。FRBの政策方針やFOMC議事録にも注目が集まります。また、国際経済政策シンポジウム「ジャクソンホール会合」での発言も注目されます。為替市場では、円安基調が株式市場を支援していますが、日本政府の為替介入の可能性や米国の利上げ観測にも注意が必要です。
■来週の注目スケジュール
来週の経済指標発表スケジュールは以下の通りです。
- 8月15日(火):日本のGDP速報値(4-6月)、中国の鉱工業生産指数(7月)、小売売上高(7月)、独のZEW期待指数(8月)、米国の小売売上高(7月)、NAHB住宅市場指数(8月)など。
- 8月16日(水):日本の決算発表(パンパシHD)、中国の新築住宅価格(7月)、米国の住宅着工件数(7月)、鉱工業生産指数(7月)、FOMC議事要旨(7月25-26日会合分)など。
- 8月17日(木):日本のコア機械受注(6月)、貿易収支(7月)、米国のフィラデルフィア連銀製造業景況指数(8月)、決算発表(ウォルマート、アプライド)など。
- 8月18日(金):日本の全国消費者物価コア指数(7月)、ユーロ圏のCPI(7月)、日米韓首脳会談など。
- ジャクソンホール会合(Jackson Hole Symposium): アメリカ・ワイオミング州のジャクソンホールで開催される、世界中の中央銀行のトップや経済学者らが集まる経済政策に関する重要なシンポジウムです。この会合では経済の現状や展望、金融政策などについて議論され、市場への影響が大きいことがあります。
- 非農業部門雇用者数(Non-Farm Payrolls): アメリカの労働統計の指標の一つで、農業部門を除いた全ての雇用者数を示します。この指標はアメリカの雇用市場の健全性や経済の成長に関する重要な情報を提供します。
- 米消費者物価指数(Consumer Price Index, CPI): アメリカの消費者物価の上昇率を示す指標で、一定の商品やサービスの価格変動を計測し、インフレ率を把握するのに用いられます。市場の物価変動の傾向を示す重要な経済指標です。
- GDP(Gross Domestic Product): 国内総生産の略で、ある国内で生産されたすべての経済活動の総額を示す指標です。経済の成長や縮小、活動の健全性を測るための基本的な指標とされています。